清友監査法人 SEIYU AUDIT CORP.

COLUMNコラム

監査法人業務紹介 ~YOUは何しに監査法人へ?~

清友監査法人 加藤 茂洋

2024年11月15日に公認会計士試験の合格発表がありました。
合格された方は就職活動に入られて大半の方が監査法人の入所を希望されると思います。監査法人での面接では企業の新卒採用と同じくやりたい仕事や志望動機を質問されます。そのような監査法人を希望される就活生に、伝わっているようで伝わっていないと感じる監査法人の業務のうちの監査以外の業務について私の偏見を交えて少し紹介します。

監査法人は法人名のとおり、会計監査を主たる業務としている法人です。
しかしながら、監査法人と伝えてもピンと来ない方は多く、前㈱か後㈱かと聞かれたり、領収書の宛名記載時に何回も聞き返されることは監査法人に在籍している会計士あるある(?)です。
監査法人では主に会計監査のチームメンバーとして監査に従事することになりますが、会計・監査の専門家集団である監査法人には会計監査のみならず、会計監査以外の依頼を頂戴することがあります。

例えば、デューデリジェンス。とりわけ企業の財務状態や経営成績を調査・分析する財務デューデリジェンスは公認会計士の専門とするところです。
M&Aの際に財務デューデリジェンスを実施することが多く、買収元が会計監査を受嘱している場合にはのれんの評価や識別可能資産の測定(PPA)まで求められることもあります。IPO案件では上場審査基準を充たすために課題論点の洗出しのショートレビューを行いますが、その一環で実施する財務事項の調査は財務デューデリジェンスに通じるところがあります。デューデリジェンスもIPOのいずれも調査対象となる会社では税務決算のみを行っているケースが多く、会計監査では挙げたことがないような修正事項が多数検出されます。
会計監査では年次の浅いJAやシニアには手続がルーティーン化しやすいリスクの低いことを担当してもらうことが多く、会計監査と比較して業務のダイナミックさを感じられることが魅力です。
また、会計上の要修正事項が発生する背景には内部統制上の瑕疵が潜んでいることもあり、要修正事項の伝達に留まらずに、どこまで報告書に落とし込むかは担当者の裁量次第というところもやりがいを感じます。

内部統制の構築指導も会計監査を経験したことがある公認会計士に一日の長がある業務です。
会計監査を有効かつ効率的に行うために会社が構築した内部統制に依拠して会計監査を実施しますが、内部統制のデザイン評価においては主にリスクとコントロールのバランスを検討することになります。被監査会社が行う事業から想定されるリスクと従業員やシステムから構成されるコントロールが絶妙なバランスで成り立っていることに感心します。
この経験を重ねていくとリスクとコントロールのバランスを欠いているときに補正の必要性(=構築指導)に気付くことが出来ます。

これらの監査以外の業務は必ずしも会計もしくは監査の専門家であることを前提とはしていませんが、会計・監査の専門家である公認会計士、もっといえば主に公認会計士で組織される監査法人の名で実施する方が依頼主からの信頼性は高いと感じます。
背景には専門家というのれんだけではなく、会計監査実務に精通していることがあるのではないでしょうか。

公認会計士試験を合格されたアナタ、これから公認会計士を目指そうとするアナタ、YOUは何しに監査法人へ?